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2013-09-20

Michael in JAPAN '92 (2)) (日文)

Michael in JAPAN '92 (2)
24日間の記録
來源:
mjfcmoonwalk.com
[ 長崎ハウステンボス&新幹線&博品館&離日編 ]


■12月26日(土)■  長崎ハウステンボス vol.1
 この日は、以前から "マイケルは午前中 広島や長崎に行く" なんて情報が新聞に載ってたせいもあって、私たちは早朝からキャピでお出かけするのを待つことに。新聞なんてあんまりアテにならないけど、だからこそ逆に、置いてかれちゃっただどこに行ったのかなんて全然判らないもんね;

 ファンの姿もまばらで ひっそりした中、私たちは何が起こっても良いようにとりあえずタクシーを停めておこうと歩き出す。まだ時刻は午前9:00。
    とその時、突然後ろからファンの悲鳴がっ!!
 びっくりして振り返ると、でたーっ マイケルのバンっ! 後ろにエスティマを従え、駐車場出口から猛スピードで飛び出していく!!
 あっけにとられ、一瞬固まってしまった私たちを尻目に、バンはあっという間に視界の外へ。
 「どどど、どーしようっ;」
 やっとタクシーをとっ捉まえ、後を追った時はもう2分以上も出遅れちゃってる。
 とりあえず必死で冷静になって、行先を羽田空港に決める。遠出ならきっと羽田に行ってるに違いない…! そう信じ、ハラハラしながら高速を走り続け   

 ついに はるか前方にマイケルのバンとエスティマを発見した私たちは、タクシーが引っくり返るほど大喜び!!
 「キャーマイコ~~!」 バンに横づけし、朝っぱらからペンライトを振り回す;
 チャールズが驚いてこっちを見てる。ビルも眠そうな顔しながら手を振り返してくれる。
 "う、嬉しいっ! ちゃんと付いて来れたんだぁ" そんな実感に浸りながらバンにくっついて走り続け、辿り着いた先は空港そばの 『羽田東急ホテル』。
 マイケルのバンとエスティマは、そのままホテルの駐車場へと消えてゆき、私たち追っかけタクは駐車場の手前でストップ。結局、付いて来たのは私たちのタクシーともう1台だけ!
 とりあえず皆でタクシーを降り、ホテルの中へダッシュ!! ロビーや廊下を通り抜け、駐車場の裏手へ回り込む。
 外に出ると、前方にマイケルのバンが! 私たちはバンに向かって無言で走る!(声なんて出ないのっ:)
 バンの隣には "JAL" のリムジンバスが停まってて、ちょうど一行はバンからバスに乗り換えているトコなのでした。
 「マ、マイケルはっ?!」
 バスの左側に回り込んでみると… あっ! マイケルみっけ!
 右後方の座席に "ちょこん" と座って、こっちに向かって手を振っているっ!
 いつものバンとは違ってリムジンバスの窓って、こっちが恥ずかしくなる位 丸見え状態で、セガジャンパーに帽子・サングラスのマイケルが目にイタイほどよく見えるっ; 信じられない… こんな近くにマイケルがいるんだ…!!;
 マイケルはニコニコ笑いながら、まるで1人1人に向かって手を振ってくれてるみたい。
 すっかり窓にファンが張りつき状態になっちゃったため、セキュリティが目隠しカーテンを引いちゃう;
 ところが右側に回り込んだファンが "コンコン" ってマイケルのあたりをノックすると、なんとマイケル本人がカーテンを開けてくれたのです!! おまけに今度は窓に手をかけて、固い窓を必死に開けてくれようとしてるっ; バスはそのまま発車。
 結局は窓は開かないままだったけれど、そんな事よりマイケルの気持ちが嬉しくって; 感動したままバスが滑走路の中へ消えてゆくのを見送ったのでした。

    さて、そんな余韻に浸る間もなく、私たちも大急ぎで搭乗ロビーへ。
 ここまでは何とか付いて来れたけど、この後はどこ行けば良いのっ?!;
 マイケルの乗った便も全然判らず、しょうがないので私たちは新聞を信じて広島まで行ってみることを決意。広島にいなかったら長崎に回ってみよう!って事で。
 しかし、いつまで経っても広島行きのキャンセルが出ないっ;(帰省ラッシュだったのね;)
 先に長崎行きのキャンセル待ちが取れそうだし、そこに居合わせたファン7~8名がみんな長崎行きを決意してたので、私たちも広島に行くのは取り止めて一緒に長崎に飛んでみることにしたのでした。
 いま思えば、このとき広島行きのキャンセルが出なかったことに大感謝、ですが   

 さて、長崎空港に着いた後は、そのまま 『ハウステンボスゆき』 のバス乗り場へ直行。
 ひとまずマイケルの好きそうな所を当たってみよう!ってことで向かったのですが、途中の道は ほんっとにのどかで静かな一本道で、だんだん "マイケルなんてゼッタイ居そうにない;" って気分になってくる。
 約1時間、不安な気持ちでバスに揺られてると、いきなり景色が変わってなんだかディズニーランドみたいな街並が見えてくる。
 「ハウステンボスだぁ!!」





 着いてみると、そこはまるで おとぎの国!! 外国の美しい建物や街並、冬なのに咲き乱れる花々…!! それが、はるか向こうまで拡がっている。
 それらを見てるうち、"マイケル、ひょっとして本当にここにいるかもしれない…!" って思えてくる。

 とりあえずもうすぐ午後5:00だったので、5:00から出る割安チケットで入ろうと(セコイ?)考え、ボーっと時が過ぎるのを待つ。
 15~20分経過。「そろそろ良いんじゃない?」 「入ろうかぁ」
 チケットを購入しつつ、何となく係のお姉さんに、
 「あのー、マイケル・ジャクソンって ここに来てませんよねぇ…?」 って訊いてみたら、
 「はい。昼ごろから いらっしゃってますが」 だって!!
 ガーン; 何ボヤボヤしてたんだぁ~; もっと早く訊いてれば良かった~!

私たちは猛ダッシュでゲートを抜け、そのまま闇雲に走り出そうとしたら、前方からカメラ機材を抱えたお兄さん達がドヤドヤ戻ってくる。絶対マイケルだっ!!
 ワラにもすがる思いでお兄さんに訊くと、たった今 『ドムトールン』 で取材してたとのこと。
 「まだ居るんじゃないかなー」
の言葉に、私たちは一目散でダッシュ!! マイケルが、マイケルが 『ドムトールン』 にいるんだぁっ   でも、『ドムトールン』 ってどこっ?!
 慌ててお掃除のおじさんに訊いても、「あれー、どこだっけー?」 ってカンジで、私たちはもう焦りまくりっ;
おじちゃんっ しっかりして~;
 どうにかこうにか頑張って、ようやく 『ドムトールン』 に辿り着いた頃には もう息も絶え絶え;
 係のお姉さんに、「マ、マ、マ、マイケルはっ;」 って訊くと、
 「たった今 迎賓館に戻られました」。
 ガーン。たった今~?!; バカバカっ; 私たちって大まぬけ~;
 あまりに落ち込む私たちに、係のお姉さんは
 「また閉園後、お買物されるようですよ。2,3日いらっしゃるようですから」 って教えてくれる。
 それを聞いてようやく少し立ち直った私たちは、ついでに 『迎賓館』 の場所を訊いて(この時まで私たちは、『迎賓館』 が園内にある会員制ホテルだなんて知らなかった;)、そのすぐ斜め向かいの 『ホテルヨーロッパ』 にチェックインしたのです。


『迎賓館』会員制のオールスイートホテル。全9室・1泊30万円
その後、まだ閉園前の今のうちに夕食と夜食の買い出しを済ませちゃおうと、再びホテルの外に出る。
 両手いっぱいに食糧を抱えてウロウロしていると、飛行機で一緒だったファンの1人とバッタリ! 色々と話し込んでるうちに、また1人ファンがやって来て
 「向こうにロープ張ってるよっ!!」 って教えてくれる。
 まだ閉園前なのに、ロープ?!
 どきどきしながらダッシュで駆けつけてみると… ババーンっ!! 人・人・人の山っ; ものすごい数の野次馬が蠢いている。間違いない、マイケルだっ!!
 建物と建物の間にロープが張られてて、その向こうにはクラシック・カーが2台、こちら側には物珍しげに眺める野次馬の群れっ;

 なんだか、そろそろマイケルが目の前の建物から出てきそう。けど、あまりの人の多さに追っかけファン7~8名は、ちょっと離れたクラシック・カーの通り道のところでミッキーのペンライトを持って待機。
 "もうすぐマイケルに会える…!"
 キンチョーしながら待ってると、突然 「キャー!」 「おーっ!」 という野次馬の歓声!! そしてさっきのクラシック・カーが、こちらに向かって走ってくるっ;
 2台目のクラシック・カーの後部座席に、マイケル発見!!
 甥っ子たちと一緒に座って優雅に手を振ってるっ! 透明な窓からは、マイケルのサングラス無しの大っきな目がバッチリ!
 「かわい~い!」 「きゃーっ」
 私たちはみんな大はしゃぎで、通り過ぎるマイケルに向かって 「コンバンワー」 のご挨拶。ペンライトを振り回しながら、マイケルの乗ったクラシック・カーの後をみんな走る走るっ;

 やっと前方に車が停まったのを確認。
 そこは 『スタッドハウス』 という建物で、マイケルは正面の階段を上り、入口の奥へと消えていく。
 私たちは今度こそ野次馬に負けず、階段の真ん前のロープに張りつく。そのまま押し合い・へし合いの揉みくちゃ状態でマイケルの出てくるのを待つ。
 「フラッシュ撮影はマイケル側から禁止されています!」 の係員の声に、素直に頷くのは熱心なファンだけ。野次馬は "今か今か" のシャッターチャンスを狙って、マイケルが出る前からバシャバシャやっている!!; 早く閉園しろ~~;
 ほとんど混乱状態の中、いよいよ扉からマイケル登場!! やっぱりフラッシュの嵐っ;
 でもマイケルは、そんなフラッシュ攻撃にイヤな顔ひとつせず、何だかとっても楽しそう。階段をフワフワ優雅に降りてくる。
 私は、等身大マイケルが目の前で歩いているこの状態がすぐには信じられなくて、まるで等身大巨大スクリーンでも観てるみたい;
 その時、ペンライト集団が揃って 「マイコー!! アイシテマース!!」 って叫んだら、一瞬 「え?!」 って顔したマイケル、途端に落ち着きがなくなって明らかに動揺している様子;
 それでもペンライトに向かって手を振り返し、ササッと車に乗り込んだマイケル、その後も 「I love you マイコー」 の声に、恥ずかしそうに手を振り 顔を隠してる;
 走り去るクラシック・カーを再び追って走りながら、この時ようやくマイケルがこの場にいることを実感できたのでした。


 さて、次に辿り着いたのは 『シーブ・リーズ』。ここでマイケルは、甥っ子たちとしばらくお買物。
 さっきまで羽織ってた黒コートを脱いで、相変わらずのセガジャンパー姿。しかも、袖からも裾からも "JAM" のSFで着てたようなオレンジ色のシャツをデロ~ンと出してるのっ; だらしねぇっ; でもカワイイ
 もちろんマイケルはサングラス無しで、ビルや甥っ子たちと話しながら広くはない店内をウロウロ。
 私たちは、店のあちこちにあるデッカイ窓から店内を覗き込み、マイケルの一挙手一動に大騒ぎ;
 ガラス1枚隔てた向こうには、夢にまで見たマイケルが店内のライトを一身に浴びて、2,000円サングラスを見たり、小物を手に取ったりして笑ってるっ; 窓にへばり付くファンをちっとも警戒する様子もなく、手を振ってくれたり フヨフヨ近づいてきたり…;
 そのうちマイケルは、なんと "写ルンです"(※使い捨てカメラ)を手に取って、自分でレジまで持ってっちゃったっ!!

 そんなこんなでファンが騒然としてるうち、店の裏側には真っ赤なハウステンボス・バスが待機。
 「これに乗り換えるんだ?!」 って思ってると、やっぱり店内からマイケルが出てきて素早く乗り込む!! 思わずみんなバスの側面に駆け寄るっ; と、真っ黒な窓がフラッシュでバシバシ光り… マイケルの姿が見える!!
 バスの後ろを向いて立って手を振ってるマイケル、右手に持ってるのは…
 カ、カルビーポテトチップスの塩味だぁ?!
 袋に手を "ズボッ" と突っ込んで ばりばり食べてるっ; しかも、食べながらファンに向かって投げキッスの嵐!!
 あまりのマイケルのかわいさに、思わず持っていたペンライトで窓を数回ノックしたら、同じ数だけマイケルもノックし返してくれる; 嬉しくって、もう1度ノックしたら、またまた返事してくれて。

 そのうちバスは次のアトラクションに向かって走り出し、私たちもホケ~~っとしながら追っかけてって、着いた先は 『大航海体験館』。
 ここで私たちはついに、夢にまで見た "等身大マイケルとの握手" を実現させちゃったのです!
 バスから降りて、アトラクションまでの通路をゆっくり歩くマイケル。それを、通路わきのロープ手前から一生懸命呼ぶ私たち。ペンライトやヘビのぬいぐるみを振り回して 「マイコー」 って叫んだら、マイケルがわざわざ通路の中央からこっちに向かって近寄ってくるっ!!;
 あれよあれよという間に、マイケルが差し出す手を私たちは握りしめていたのです!!
 片手で3人はさすがにムリだし 足りないと思ってくれたのか、もう1本の手も差し伸べてくれるっ;
 あっという間の出来事で マイケルの表情すらろくに憶えてないけど、大きくって温かくって、ちょっと骨っぽいマイケルの手の感触だけは妙にリアルに残っている…。ボーっとしたまま、じっと手のひらを見つめる私たち。夢なのか、現実なのか、実感が全くないっ;



『大航海体験館』大航海を体験できるシミュレーション・シアター
そのまま、アトラクションからマイケルが出てくるのを待ち、40分後。
 扉から出て再び通路の中央を歩いてきたマイケルは、またしてもロープの端まで来てくれたのです! 今度こそちゃんと顔も見るぞっ;
 目前に迫まってくるマイケル、ちょっと恥ずかしそうに笑いながら 手を差し出してくれる。
 1人がペンライトを振ってたら、条件反射(?)なのか、マイケルはペンライトを "がしっ" と掴んじゃった;
「プレゼントはNG」って係の人に言われてたしマイケルにあげるつもりでは全然無かったのに、そのまま引っこ抜いて持ってっちゃって;
 そして1人1人と握手した後、確かにマイケルは、「サンキュ… フフ…」 って言ってたのです!! いつものあの優しい声で。
 私たちは今度こそ本当に実感が沸いてきて、涙が出るほど感動したのです。マイケルって、いつだって誰にだって心の底から優しく出来て、しかもそれがとっても自然に出来ちゃう人なんだなぁ…って。ロープから決して出ることの出来ないファンの気持ちをちゃんと解ってくれてるんですよね。

 マイケルを乗せて 『迎賓館』 へと走り去るバスを見送りながら、私たちは手のひらをギュッと握りしめ、さっきまでの夢のような出来事を何度も何度も思い出していたのです   


 『迎賓館』 バルコニーにて(92年12月26日)






■12月27日(日)■  長崎ハウステンボス vol.2
 コーフン醒めやらぬまま眠れない夜を過ごし、明けて2日目。
 今日は早めにホテルを出て、広~い園内を下見がてら周ってみることに。(TDLの2.5倍の広さ!!なのです)
 私たちの部屋の窓からは、『迎賓館』 のマイケルの窓がとっても近くてよく見える。「キャピもこれっくらいよく見えたらいいのにねぇ~」 なんて話しながら部屋を後にする。

 園内マップを手にブラブラ歩きながら、ひとまず一番奥手の 『パレス・ハウステンボス』 へ。
 午前10:00ごろ着いてみると… ん?! なんか、警備が数人固まって話をしてるっ?
 "ひょっとしてマイケル?!" って思いつつ、1人だけ離れた所に立っている警備のおじさんに訊いてみると、
あっさり 「11:00ごろ来るよ~」 だって;
 おまけに、通る道順まで教えてくれちゃった;





『パレス・ハウステンボス』 オランダ王室の宮殿をそっくり再現したもので、内部には美術館等がある。
裏庭は日本有数の本格洋式庭園で、マイケルも「 Beautiful! 」を連発。
そのまま11:00までドキドキしながら待ってると、次第に警備の数が増え、ファンらしき姿もちらほら。
 私たちは色々考えた挙げ句、あらかじめ建物の中に入って入口付近で待つことに決める。
 "そろそろだ…!!"
 数分後、昨日の夜走ってたハウステンボス・バスがやって来る。その赤バスの中には…
 「マイケルだっ!」
 マイケルがバスから降りて、歩いてくる!!
 ウェイン(セキュリティ)達に囲まれて、またしても帽子にセガジャンパー姿のマイケルが、フワフワ楽しそうに歩いてる。しかも、サングラスも無しっ!! こぉんなお陽さまの下で、真っ昼間からマイケルの "め" が見れちゃうなんて;
 私たちは、だんだん迫まってくるマイケルに金縛り状態;
 ファンの歓声に "はっ" と我に返って、"そうだ、先に中に入って入場チェックを済ませちゃおう!"って思い、マイケルから逃げるように背を向け走る!
 入場機に慌ててカードを通していると、あっという間にやって来たマイケル一行は、入場口から館内(美術館になっている)には入らず、そのまま中庭の方に抜けていこうとしているっ!
 「きゃー待って待って~;」 私たちも大急ぎで入場を取り止め、マイケルの歩く通路のわきに走り寄る!!
 「マイコー!」
 柵越しに手を振ると、マイケルがフッとこちらを向き、ニッコリ笑いながら右手を差し出してくれるっ; 左手でちょっと恥ずかしそうに帽子のつばを持ってるのっ;
 「Please shake your hand!」 そしたらマイケルは、1人1人とちゃんと握手してくれて。
 その時、私たちは思わず身を乗り出しすぎて、間にある柵にぐっと体重がかかったら、なんとその柵がズズ~ッと前にズレちゃった; まさかそんな不安定な柵だなんて思ってもみなかった私たちは、2人いっしょに前にすっ転びそうになるっ;
 そしたら、マイケルもそれを見て一瞬 "ハッ" と目を見開き、ビックリ顔! そのまま握手してる手を、グッと持ち上げて助けてくれたのです。しかも、もう一方の腕も差し出してくれて。その間、ウェインやチャールズは知ら~ん顔っ;
 そのままマイケルと握手しながら前に進み、とうとう柵の限界で手が離れていっちゃった。

 マイケルの後ろ姿を見送りながら、私たちは感激に浸る間も無く、後を追って走るっ!
 「それ以上はダメです!」 って叫んでる係のお姉さんの声を振り切り、中庭に続く階段に向かったら、そこは既にロープが張られていて あえなくそこでストップ。
 はるか前方には、噴水に向かって歩いていくマイケルの姿。
 ここでマイケルは、ニュースでお馴染みの、ハウステンボスのマスコット "ルーキー人形" を受け取るセレモニーを行なったのでした。



 約10~15分後、今度は黒コートと黒マフラーを身につけ、再びマイケルが歩いて戻って来る。
 ほんッとにニコニコ笑ってて、まるでペコちゃんみたい。手を振りながら、帽子のつばを持って恥ずかしそうな様子がカワイイ




 そのまま私たちの目の前を曲がって、裏庭からまっすぐ外に出ようとしてる。私たちも大急ぎでさっきの通路を引き返し、マイケルが出てくるのを先回りで待つ!
 …と、外に出てみると、ついさっきまでとは様子がゼンっゼン異なり、ロープがバーっと張られて入場規制が行なわれていて、その向こうには… 追っかけファンが大勢!!
 「マイコー!!」 「キャー!」 ドワ~っとものっすごい大歓声の中、向こうからマイケルが歩いてくる! 手を振りながらとってもゴキゲンな様子。



 そのまま小道を抜けていく途中、大きな鉄柵の間から必死で手を伸ばすファンの手を、マイケルはフワフワ近寄ってきて1人1人握り返してくれる。泣き出して大喜びするファンを後に、マイケルは湾沿いの小道をそのまま歩いていく。
 どうやら桟橋に向かっている様子。

 私たちも必死で後を追い、再びマイケルを目にした時には いつの間にか黒コートを脱いでいる。
 「マイコー!!」 遠くから叫びながら走っていくと、マイケルがくるっと振り向いて、笑いながら "ピピッ" と2回指差して手を振ってくれる。うれしーよー;


 そのままクルーザーに乗り込んじゃったマイケル。それを岸辺から見つめる追っかけファン&野次馬。
 両隣をざっと見ると、ほとんどキャピの前でタムロってるのと同じ顔ぶれ; みんなで息の合った 「マイケル・コール」 を送りながら、クルーザーの移動する方向へダッシュ!ダッシュ!;
 クルーザーの窓から見たマイケルは青緑っぽい色のシャツを着てて、手には昨日の "写ルンです" を持っているっ;


 そのままクルーザーはファンを引き連れて20~30分 周辺の海や運河を走り、『迎賓館』 の桟橋へ到着。
 マイケルは、優雅に手を振りながら中へと消えていったのでした。

    その後は、雨がポツポツ降り始め、私たちは昼食を摂ったあと 一旦ホテルに戻る。
 「今日は本当に運が良いね」 なんて話しながら、気づいたら3人ともベッドの上で眠りこけてしまった;
げげっ; 気がついたらもう午後5:00近いっ;
 大慌てでホテルを飛び出すと、ちょうどホテルに戻って来たびしょ濡れのファンとすれ違う。
 「マイケル、いま買物してたんだよ! すっごくよく見れたんだよ~!!」
 ガガーン。思いっきり大ボケこいて昼寝しちゃった自分たちが恨めしい;
 その後マイケルのバスはどっか走ってっちゃったとの事だったけど、私たちは居ても立ってもいられず、雨の中 再び園内をウロウロしたのでした。
 「まぁ、夜だってあるんだしね」 ってようやく気を取り直し、夕ごはんを食べる。

 その後、なんとなく 『ユトレヒトプラザ』 の周辺をウロウロしていると、どっかから中国4千年の歴史(?)を感じさせるような音楽が聴こえてくる。行ってみると 『中国雑技団』 の建物が建っていて、音はそこから漏れてくる。でも、公演時刻を見ると とっくに終わってるハズ…?
 係の人に訊いてみると、「今日の演技は全て終了しております」。
 でも、中からは繰り返し繰り返し音楽が聴こえてくるし…
 ひょっとして ひょっとすると、マイケルが来るのかもしれない…!!

 気になって周りをウロついてると、顔見知りのファンにバッタリ。
 「マイケルは 『パサージュ』 で買物してるよ」 って教えてくれる!
 もう、大ダッシュで辿り着いてみると… いるわいるわ、ファンと野次馬がビッシリ!! 既に私たちが入り込めそうな隙間なんて全然ないっ; しかも、ロープが遠~くから張られちゃってて、マイケルを見ようにもゼンゼンそばには寄れない状態;
 「どうしようかっ?!」 「こんなんじゃムリだよ~;」


 そろそろマイケルが買物を終えて移動しそうになった頃、私たちは思い切ってその場を離れ、さっきの 『ユトレヒトプラザ』 へ引き返す。イチかバチか、ヤマを賭けて待っててみようっ!
 走って戻ると、なんと警備員が数名ロープを持って入口付近を歩いているの!
 「やっぱり 『中国雑技団』 だっ!」

 そこの入口はちょっぴり奥まった所にあり、遠くからロープを張られちゃったらマイケルの姿なんて また見れない;
 警備のおじちゃんに、「ねぇねぇ、マイケル見れそうなトコってどこ~?」 「入口に近いとこ教えてよ~;」 って半ベソで訊くと、おじちゃんはとっても優しくってニコニコ笑って 「だったら向こうに周ってみなさい」 って反対側の方を指差す。
 大急ぎでそっちに周り込むと、本当に入口がバッチリよく見えるの!
 そこにしばらく立っていたら、遠くから黄色い歓声が聞こえてきて、赤バスがあっという間に 『中国雑技団』 の入口そばまで乗りつけ、中からマイケルが降りて来るっ!! 「キャーマイコー!!」
 マイケルは、雨を避けるように素早く入口の中へと入っていった。私たちは一瞬でもマイケルの姿が見れて大喜び!
 その後も、建物の周りをうろうろしてたら、びっしりカーテンが引かれて中が見えないようになっているのに、ちょっとだけ隙間が開いている所があったらしく、そこにファンが数名集まって覗いている。みんな優しくって、替わりばんこに見せてくれたお陰で、私たちもマイケルのお顔拝見っ
 マイケルは赤いシャツ着て椅子に座って、演技を楽しそうに見ているっ! 時々胸元で拍手したりで とってもカワイイっ 足元に黒コートをくしゃっと丸めて置いてたりして。

 そんなマイケルを見て感激しつつ、マイケルが出てくるのを待っていると、さっきの優しい警備のおじさんとバッタリ。
 思わず、「おじさん、マイケルってこの後どうするの?」 って訊いてみたら、
 「うーん、なんか、昨日まわって気に入った所にあと1,2ケ所行くみたいだねぇ~」 だって!
 昨日行って気に入ったとこなんて判んないっ;
 急いで園内マップを広げて考えた挙げ句、とりあえず昨日マイケルを見たあたりへ行ってみよう!ってことに。ハズレて元々だもん…!
 演技もそろそろ終了しそうな気配だったので、とにかくマップを片手にダッシュ!!

 広~い園内を走っていくと… きゃーっ; またしてもロープを持ったお兄さんみーっけ!! 大当たりだぁ
 そこは 『アニメワールド』 の前で、そういえば昨日マイケルを最初に見たのもここだったような気がした。
 私たちがゼーハー息を整えているうちに、あっという間にロープが張られ、マイケルのバスが走ってくる!!
続くファンの歓声!!
 目の前にバスが停まり、降りてきたマイケルに向かって私たち3人は大騒ぎっ; 「きゃー!マイコー
 するとマイケルは、ぱっとこっちを向いて、なんと投げキッスを2回、してくれたのです!
 嬉しくって引っくり返りそうになっているうちに、マイケルは反対側のファンに手を振り サーッと建物の中へと消えていく。

 大騒ぎしながら真正面のファンの人達と手を振り合ったりしているうち、さっきの優しい警備のおじちゃんがゼーハー言いながら 「こりゃたまらんなー」 とようやく追いついて走って来た。
 「おじさん!どうもありがとね」 なんて言いながらしばらく話していると、背広を着た偉そうな人がおじちゃんのそばに来て何か話してる。無線とか持ってて 何か責任者っぽい雰囲気なので思わず話しかけてみたら、その人は今回のマイケル訪問の責任者で、ずーっとマイケルのそばに付いて歩いていた方だったのでした。
 その人が言うには、マイケルはここ 『アニメワールド』 や 『クリスタル・ドリーム』 が大のお気に入りで、喜んでいたのだそう。


   左: アニメワールド   右: クリスタルドリーム

 特に、この 『アニメワールド』(アニメの製作工程を見たり ハイビジョンを個室で観たり出来る施設)は、昨日は全部のハイビジョンが観られなかったので わざわざその続きを観に来たのだ、との事でした。(そういえば 『セガ』 に2回目に行った時も、ホントの理由は "ゲームの続きがしたかったから" らしいし…; けっこう続きにこだわるのね;)
 しかも その人が言うには、マイケルはいつも個室のレストラン(『エリタージュ』)で食事をしていて、今日の昼はコーヒーしか飲まなかった(!! コ、コーヒー?!;)とか。あらら~~?!;
 もっと話を聞きたかったけど、その人は 『アニメワールド』 入口の方に戻って行っちゃった。

 そのまま またおしゃべりしながらマイケルの出てくるのを待っていると、午後9:00過ぎ、私たちのロープ側の照明が落ちちゃって真っ暗になっちゃった;
 反対側の、ファンが大勢いる方は明るいのでマイケルが出て来たらよく見えそうだけど、マイケルからこっちの方なんてゼッタイ見えないよー; ただでさえ3人ぽっちで人数も少ないのに…;
 「これじゃあマイケル、こっちには気づいてくれないね…」 ってガックリしてたら、警備のおじちゃんがデッカイ懐中電灯を手に持ってチカチカ照らしてるのが目に入る。
 "これだぁ!" って思い、「ねぇねぇ、おじさん、マイケルが出て来たら私たちの足元を照らしてほしいのっ! こっち側は真っ暗でマイケルから見えないもんっ;」 「お願いしますっ!」 って頼んだら、ニコニコしながら
「そんなこと出来んよー」 なんて言う。

 午後10:00少し前、ようやく 『アニメワールド』 からマイケルが出てくる気配。
 私たちは、もう声の出る限り叫んで手を振る!
 そしたらマイケルは、ニコニコしながら真っ暗なこっち側を向いて、ヒラヒラ手を振り返してくれたのです!!
 「キャーマイコー!!」
 こんな状況なのに気づいてもらえたなんて信じられなくって大騒ぎ! そのままマイケルは反対側のファンに向かって手を振り… はっと気づいたら、私たちの足元はちゃんと明るくって…
 おじちゃんは、マイケルが出てきてからずっと・ず~っと、私たちのことをちゃんと照らしてくれていたのです!!
 もう涙が出そうなほど おじちゃんの優しさが嬉しくって感激して、何度も何度もお礼を言いながらバスの後を追って走っていったのでした。

 バスはまっすぐ 『迎賓館』 に戻り、しばらくみんな 『迎賓館』 の窓の外から眺めて立ち続けていました。
今日の出来事をしっかり胸の奥に刻みながら…。

 夜食後、ホテルの部屋に戻ってマイケルの部屋を眺めると、マイケルの窓は青くチラチラ光ってる。
 「わかった!! ゲームやってるんじゃない?」
 延々と続く青い光をじーっと眺めながら私たちは、色んな思い出と明日のことを考え、しばらく話に花を咲かせていたのでした   






■12月28日(月)■  長崎ハウステンボス vol.3
 ハウステンボス最終日は、またしても雨。
 今日マイケルは、この夢の国を離れて東京に戻ってしまう。
 昨日までの余韻をどぉ~んと引きずっている私たちは、「ぜぇったい、東京まで一緒に帰ろうっ!」 と決心して、めちゃくちゃ早起きする。 「28日は宮崎のサファリパークに行く」 なぁんて新聞に出ていたせいもあって、起きたのはなんと午前6:30っ; とにかくマイケルが何時にここを発つのか・どんな交通手段で帰るのか 全く確信が無くって、とりあえず朝から迎賓館の前で張っていれば間違いない!って思ったのね;
 疲れと眠気でぼーっとしながらも 何とか身支度を整えて窓の外を見ると、マイケルの部屋は昨日の夜から明かりが点けっぱなし!
 「マイケル、ずっとゲームやってたのかなぁ…?」 「きっと、まだ寝てるだろーね」
 そんなこと言いながら、午前7:00ごろ 『ホテル・ヨーロッパ』 をチェックアウト。

 小雨の降る薄暗い中、静まり返った通りをトボトボ歩いて 『迎賓館』 へ向かう。
 昨日このあたりを周っていた時、ものっすごくタクシーが拾いにくそうだってことが判っていたので、こぉんな早くっから既にタクシー2台チャーターしていた私たち; とりあえず二手に分かれて乗り込み、あとはひたすら張り込む決意っ;
 運転手さんにも事情を説明すると、とっても親切で協力的な人で、
 「だったらここじゃなくって、ホテル駐車場まで行って待ってた方が良いよ」 ってアドバイスしてくれる。
 どうも、マイケルが乗っている園内専用バスはそのまま市内へ走って行くことは出来ないらしく、必ずそこの駐車場でバスを乗り換えるハズだ!って、その "ラッキータクシー" のおじちゃんは言うのですね。
 「さっすが地元のおじさん!」 「するどいっ!」
 その言葉に従い、私たちはひとまず 『迎賓館』 の前を離れ、そこから5分ほど離れた所にあるホテル駐車場へと向かう。

 早朝でガラ空きの駐車場へ入っていくと、まっ先に目に飛び込んで来たのが 休憩室前にポツンと停まっている1台の真っ白なバス。
 なんかとっても立派なバスで、後ろには "ラッキーバス" なんて、タクシーと同じマークが入っている。





 「ねぇ、いかにも怪しいよねっ?!;」 「うん!」 なんて話してると、
 「同じ会社のヤツだからさ~ ちょっと訊いてきてやるよ」 と言い、運転手さんがタクシーを降りて歩いていく。
と、すぐさま引き返してきて叫ぶ! 「おい! マイケル・ジャクソン乗せるって言ってるぞ!」
 「えっ えぇ~~?!;」 「もうすぐ来るって言ってるぞ!」
 も、もうすぐって、だってマイケルって、こんなに早く起きれんの?!
 「北九州の 『スペース・ワールド』 まで行くみたいだなぁ」(※ジェットコースターばりばりの遊園地です;)
 あまりの話の急展開にすっかり動揺した私たちは 何をどうして良いのかよく判らず、とりあえずラッキーバスのそばにタクシーを停めて待つことに。
 バスの運転手さんによると、午前8:00にマイケルはここに来るらしい;

 キンチョーで金縛り状態のまま時が過ぎるのを待ち、あっという間に予定時刻になる。
 「い、いよいよだね;」
 穴でも開け!ってぐらいにバスを凝視していると、休憩室のお姉さんがバスに向かってトコトコ歩いていき、その後バスはエンジンをかけて隅っこの方に移動し始めちゃう。
 イ、イヤな予感…;
 思い切ってタクシーを降りてバスの運転手さんに訊いてみると、やっぱり・案の定!
 マイケルの出発は正午まで延びたとの事でした; ガガーン;
 「スペース・ワールドも中止になったみたいだねぇ」 だって;
 そりゃあマイケルに "早起き" なんてムリじゃないかって思ってたけど、雨降りのBADなお天気だし しょーがないけど、私たちは一気に身体中の力が抜けちゃって、ガク~っ;
 もう1度園内に戻ろうにも私たちのパスポートでは再入園できないし、さんざん迷ったあげく、諦めてこのまま正午までタクシーを停めて待つことに; (ムボーでしょー; ものっすごいタクシー料金よ;)

 マイケルが来るまでの4時間のうちに 私たちとタクシーの運転手さんはすっかり仲良くなっちゃって、一緒に朝ごはん食べたり、休憩室の周りをウロウロしたり。極めつけは、マイケルが乗っていくラッキーバスの中に入っちゃった!; 1人が疲れと車酔いで とにかくゲロゲロ状態で、少しでも横になれる場所を…!って探してたら、バスの運転手さんが快く場所を貸してくれたのです。
 バスの中はやっぱり広くって、マイケルの座っていくあたり(バスの後部)は 全て椅子の向きが変えられている。真ん中にちょこんと立っているテーブルを囲むような形で、まるで "憩いの広場" っぽい雰囲気。
 「ここにマイケル乗ってくんだね…」
 よく考えるとマイケルが乗っかる前だし、そう思うと何の変哲もないフツーのバスだけれど、それでも私たちは大感激しちゃったのです。

    そうするうち、今度こそ予定の正午になる。バスにもいよいよエンジンがっ!;
 「も、もうすぐだねっ;」
 キンチョーで固まったまま外に立っていた私たちに、係のお姉さんがタクシーの中に入っているようにと注意を促す。ちょっとでもバスのそばにいたかったけど、ぐっと堪えて一旦タクシーに乗り込む。
 と… 次の瞬間、見慣れたハウステンボスの赤バスが視界に飛び込んでくる! こっちに来る!
 「マ、マイコーだっ!!;」
 赤バスはラッキーバスのすぐ横に停まり、中からビルやチャールズが降りてくる。
 そして、赤バスの中には間違いなくマイケルの姿!! マイケルが、バスの中を歩いてるっ;


 気づいたら私たちはタクシーから飛び降りて、バスに向かって走ってた!
 これまでと違い、私たちとマイケルの間には ロープも警備員も何にも無い!!
 けど、何も無いからこそ、逆にどこまで近づいて良いのか判んないの~; あんまり押しかけて、マイケルに怖がられたら…; と思うと、バスの手前で自然に足が止まってしまう。
 マイケルは、紫色のハウステンボスで買ったトレーナーに帽子姿。私たちの姿に気づいて手を振ってる!
 あんまり間近で あんまり突然のことで、私たちは声すら出ない;
 後ろから、バスを追っかけてきたファンが 「マイコー!!」 って叫んでるのが聞こえる。マイケルはそちらに向かってもう1度手を振り、歓声の中 素早くバスに乗り込む。


 金縛り状態からやっと我に返り、私たちも大慌てでタクシーに飛び乗る。
 いよいよ、マイケルを追いかけて大チェイス!!
 冷静になって周りを見てみると、あそこにもむこうにも追っかけ用タクシーが停まっていて、マイケルのバスを追っかけてきたタクシーは全部で10台ぐらい。
 その10台が、ラッキーバスの後ろに付いてゾロゾロ走るっ;

 最初は 「ゼッタイ撒かれないように頑張るぞー!!」 って意気込んでたんだけど、一本道の のどか~な風景の中をデッカイ白バスが走ってて、周りには追っかけタクしかいない この状況で、見失うわけが無いのよね;
 お陰で、バスが高速に乗った頃には すっかり落ち着いて和み切っちゃった私たちは、半分眠ったりしながら の~んびり追っかけ。
 この辺りからタクシー同士の無線で、「行き先はどこですか~? ドーゾー」 「博多駅に向かってるようです、ドーゾー」 なんてやり取りが始まっている。
 ホントだったら新幹線で帰るってコトだよ~?!; 博多駅と福岡空港とは全く同じ方角なもんで、高速を降りた後もまだハッキリした事が判らない。

    と、ラッキーバスはいきなり方向転換して、『ケンタッキー・フライドチキン』 の前で停車。
 セキュリティ達がゾロゾロ降りてお買物。
 マイケルがポツンと残っちゃったバスを、タクシーから飛び降りてワーキャー取り囲んじゃったファンと、タクシーに乗ったまま ぐっと堪えて待ってたファンは半々くらい。
 マイケルの座っているあたりはカーテンが引かれてる…。


 それから約10分後、再びバスは発車。
 ここまで来たら、もうカンッペキに博多駅に向かっているのが判る。
 駅が近づくにつれて道は次第に混んできて、私たちからはラッキーバスの姿が見えない;
 「でも、とにかく新幹線だよね?!;」
ってことで、タクシーの運転手さんに借りた時刻表で この後の列車を調べてみる。
 …午後2:40発のひかりがある。でも今の時刻は午後2:20。
 いくらもうすぐ駅とはいえ、「これじゃあ、いくら何でも余裕が無さ過ぎるよね」 「きっと次の3時台のに乗るんだね」 って勝手に判断する。   いま思えば、これが大きな間違いだった!!
 私たちのはるか前方を走っていたラッキーバスは、おもむろに駅の正面に停まり、そこから飛び降りたマイケル一行はファンを引き連れたまま全速力で走って改札を駆け抜け、そのまま午後2:40発の "ひかり20号" に乗り込んじゃったのです!!


 前方のタクシーからの無線でマイケルがバスを降りたことを知った時、私たちのタクシーは思いっきり渋滞にハマり込んでいて、あと一歩のところで駅に辿り着けない;
 "午後2:40発のに乗ってたらどうしよう…;"
 不安で不安でイヤな予感に心臓がドキドキし、ほとんど呼吸困難になりながらホームへ走るっ!!!
 まだ新幹線が停まっているっ?!
 「間に合った?!」 って思った時… "プシュー" 無情にも扉は閉まってしまったのでした。
 ショックでボーゼンと立ちすくむ私たち。その目の前をゆっくりと走り出す新幹線…。
 中には追っかけファンの人たちの姿も見えて、本当にこれにマイケルが乗ってるんだ…ってことを実感する。
 視界から消え去る新幹線を見送りながら、私たち4人は恥ずかしながら涙ぼろぼろで大泣きしてしまったのです。

    この後、私たちは、これからどうするかをのろのろ考える。
 そして考えに考えた末、私たちがとった行動は、その後の "ひかり" に乗ってトボトボ帰ることでも無ければ 先に飛行機で東京に帰ることでもありませんでした。
 私たちは、新幹線の途中停車駅でもう1度乗り込めないかと考え、いちばん可能性のありそうな(というより そこしかもう間に合わなかった) "名古屋駅" に飛び、先回りすることを決意!したのです。
 ただただ、奇跡が起こるのを願って。






■12月28日(月)■ (同日) 感動の再会 in ひかり20号
 福岡空港に着くと、そこには私たち4人の他に 同じく乗り遅れた顔なじみのファンが4人いて、合流。
みんなで急いで手続きを行なった。
 "名古屋ゆきANA228便" は悪天候のため出発時刻が送れてしまい、1分1秒を争う私たちは大慌て;
 飛行機の到着予定は午後5:40、マイケルの乗った "ひかり20号" が到着するのは午後6:40。名古屋空港から名古屋駅までの移動時間を考えると、ちょっとしたアクシデントが起こっただけでアウト!なのにっ;
 半分諦めそうになる私たち。しかしさっき合流した4人が、「間に合わなくっても私たちは飛ぶ!」 って話しているのを聞いて、私たちも再び決意!
 飛行機に搭乗した後も、彼女たちはスチュワーデスさんに
 「急いでるんです! 跳ばして下さいっ!」
と掛け合い、そのまま機長さんに伝えてくれたスチュワーデスさん、再び戻ってきて
 「機長が "跳ばす" と申しております」。;
 お陰で、他のどの飛行機より優先で滑走路を使い、"ANA228便" は無事離陸。
 皆の ものすっごい行動力に感動しつつ、祈るような気持ちでシートに身を埋める。

 間に合うのか、やっぱり届かないのか判らない飛行機での大追っかけの中、私は何だか身体の奥からジーンと込み上げてくるものがあって、気づいたら涙がボロボロ溢れていたのでした。
 この3日間、私たち皆、なんて幸せだったんだろうね; 全ての夢がいっぺんに叶ったような至福の時で…。
 パンツも持たず、身ひとつで、ただただそばにいたい一心で追いかけてきて、こうして色んな素敵な経験が出来たことは 一生の宝物なんだなぁ…って、今さらながらしみじみ思えて。
 最後に大ドジ踏んじゃったけど、そんな事どうでも良いくらい、この時はただただ幸せで泣き続けたのでした。
 誰かが、「これで、もし名古屋で追いつけたら、きっとものすごく良い思い出になるね!」 って話してる。
うん、ほんとにそうだよね!

 機長さんが跳ばしてくれたお陰で、名古屋空港への到着時刻は予定どおり!
 飛行機の扉が開くと同時に、私たちは口々にお礼を言って猛然とダッシュ!! 一気にタクシー乗り場へ走る。ちょうど停まっているタクシーは2台っ!!
 「すっすみませんっ!! なっ名古屋駅までっ ゼーゼー;」 「ろっ6時40分の新幹線に、どうしても乗りたいんですっ;」
 ものっすごい剣幕の私たちに圧倒されながらも運転手さん、あの手この手で跳ばしてくれる。
 しばらく走り続けた後、ハラハラしながら見守る私たちに、
 「ラッキーだったね。今日は御用納めで道がすいてるから間に合いそうだよ!」 と運転手さんっ!
 私たちは、もう狂喜乱舞の大騒ぎっ! "もう1度マイケルに届いたんだ…!! 神様ありがとうっ"

 こうして、乗り遅れた新幹線を飛行機で追いかけるというムチャクチャな追っかけは見事!実を結び、午後6:40、一列にホームに並んだファン8名は、"ひかり20号" と感動のご対面 を果たしたのでした   

 マイケルの乗っている2階建ての9号車から中に乗り込んだ私たちは、いきなりチャールズにばったり!
 "なんでここにいるんだ?!" って顔でびっくりしながらも、「ファンはむこうに行ってなさい」 と、一般席の方へ追いやられちゃう。
 名残惜しげにマイケルの個室の扉を見つめながら、私たちはゾロゾロ前方の車両へ移動。
 食堂車になっている8号車の通路を歩いていると、前にはビルが立っていて相変わらずニコニコしている。
 ビルと再会の(?)握手をしつつ、"これがマイケルだったら…" なんて思わず考えてしまう;
 8号車の先頭には業務員専用の扉(駅に停車しても開かないの)があり、そこの前には博多駅から無事に乗り込んでいた仲間が立っていたので再会を喜び合った後、皆でここに立ったまま東京まで行くことに。
 間にトイレを挟んで7号車の出入口の扉の前には顔見知りのファンが数人立っている。
 やっと一息ついた私たちは、とにかく今 同じ新幹線に乗ってるんだ って実感がようやく涌いてきて、嬉しくって大はしゃぎ!;
 もちろん9号車のマイケルとは1両ぶん離れているし 姿なんて見えないんだけど、そんなコトは問題じゃないくらい心の中は大満足
 時々チャールズやウェインがやって来て、すぐそばのトイレに入ったり様子を見たりしている。

 そのまま外の景色を見たり しばらく和んでいると、見慣れたファンの子が衝撃的な発言をする。
 「マイケルね、さっきここのトイレに入ったんだよ!」
 
 私たちは一気に動揺して大騒ぎ!!;
 わざわざ個室から1両ぶん離れてて(9号車にだってトイレはあったの!)、しかもファンがたむろする中を、ここまで歩いてきて 目の前のトイレに入っただってぇっ?!; それでなくったって、新幹線のトイレって コキタナイし照れくさいものがあるのに、こんな所にマイケルが来たなんて…;

 なんだかウソみたいな衝撃的な事実に、みんな大騒ぎしながらしばらくすると、午後8:00ごろ再びウェインが歩いてくる。私たち6人の前を通り過ぎ、トイレの方へ。
 「ウェインだよ」 「トイレかな?」 なんて言ってると、トイレには入らずに すぐ引き返して行っちゃう。
 「?」
 そしたら、すぐにまたウェインが現われ、今度は私たちの前に、背中を向けて立ち止まっちゃった。
 "え?!" って思った瞬間、視界に入ってきたのは… 信じられないことに、マイケルその人!!
 "えっ えっ?! マイケル??"
 あまりの突然のことで、私たちは金縛り状態っ; 声も出なければ身動きも出来ない!
 帽子にサングラス、セガのスタジャン着たマイケルが、背中丸めて うつむき加減で(けど顔はニヤけてた)、目の前を通り過ぎて 私たちから30cmのところを(ウソじゃないのっ;)歩いてるっ!
 マイケルの後ろには甥っ子3人がぞろぞろ付いて来て、恥ずかしそうに はにかんで笑ってる。
 そのままマイケルは、ものっすごいテレ笑いしながら またしても!トイレに入っちゃったのです;
 「し、信じられないっ;」 「キャーッ;」
 一拍おいて、私たちは大騒ぎ! マイケルが、私たちの前を通って、私たちの目の前で!トイレに入っちゃったなんてっ;
 もう、嬉しいのとびっくりしたのと信じられないのとで、その場のみんなは大パニック;

 ウェインと甥っ子たちは、そのままトイレの前でマイケルが出てくるのを待っている。
 その一団をちらちら覗き見する私たち;
 別に警戒している様子もないんだけど、こんな時まで押しかけてワーキャーなんて、とてもじゃないけど出来なくって;

 そのままキンチョーの時が過ぎ(6~7分位。すごい長かったの;)、そろそろマイケルが出てくる気配。
 ウェインが私たちの方にやって来て、何やらジェスチャー交じりに話している。
 マイケルの通り道だし、てっきり 「どきなさい」 って事かな…って思い、よける覚悟をしていたら、ウェインは私たちをそこに置いたまま、私たちの前に立って "人間柵" になっちゃった! 私たちとウェインの前には、人が1人やっと通れるぐらいのスペースしか空いてないっ; ここをマイケル通ってくのっ?!
 信じられない思いで前を見ると、ファンの悲鳴がっ!!
 マイケルが、トイレからお出まし!
 うつむいてテレ笑いしながらこっちに歩いてくる。ぐんぐん迫まってくるっ!!
 この時 頭はパニック状態で記憶が一瞬途切れるのですが、再び我に返ると目の前にマイケルの横顔がっ!!
 わ、笑ってるっ;
 ものっすごい脳天ショックにブチのめされて死にそうになってるうちに マイケルはフワフワ歩いて行っちゃう!!
 私は端っこの曲がり角に立っていたので、通り過ぎるマイケルの背中に向かい、思い切って 「マイコーっ」 って呼んでみる。
 そしたら、ふっと振り向いたマイケルが、後ろ手に "さっ" と手を差し出してくれたっ;
 "あっマイケルの手だっ" と思い、急いでギュッと握りしめる。
 感触なんて感じてる余裕もなく ボーっとしたままで、次の瞬間にはマイケルの背中がはるか遠くに行っちゃってるのを見送ってました。
 隣を見ると、1人は感激のあまり泣いちゃってる! 結局そこにいた6人は、ほとんどマイケルと握手できたのでした。
 みんなの感想で共通していたのは、「マイケルの手は濡れてた!」 ってこと。マイケル、手を洗ったあと拭いてなかったのかなぁ?;

 とにかく私たちは、大感激の大喜び!
 博多から諦めずに飛行機で飛んで来て、本当に本当に良かった!!
 今までマイケルって とっても遠い人でそばになんて近寄れない…って思っていたけど、ひょっとしてマイケル自身はいつだってオープンで、こうしてファンと触れ合うことを喜んでいることもあるんじゃないのかなぁ。勝手な想像だけど、こんなに沢山のファンがたむろしている所に たったセキュリティ1人で来てくれちゃうマイケル、日本のファンのこと信頼してくれてるのかな、なんて;
 セキュリティも、マイケルに対して危害を加える恐れがない限り、とっても優しいし理解があるんだよね、この時のウェインみたいに。

 とにかく大感激で騒然としている私たちとマイケル一行を乗せて、列車は終点の東京駅へと走ってゆく。
 あと20分足らずで、この夢のような旅もおしまい…。
 「もうすぐ東京駅だね…」 って話してると… あれあれ? 再び奥の方からドヤドヤ人が歩いてくる気配。
 覗き込んでみると、チャールズやビルが歩いてきてて、その間に見えるのは…
 マ、マイケルの帽子っ!!;
 「マ、マイケルがこっち来るよっ;」
 この時マイケル一行は、東京駅到着を前に9号車から2号車の先頭まで大移動!を始めたのです。(東京駅のホームは、2号車出口の真ん前に職員用のエレベータがあるのです)

 ぐんぐん迫まってくるマイケル一行に圧倒されつつも、
 "ちょっとでも長く正面からマイケルを見ていたい…!" って思った私たちは、いきなりマイケルに背を向けて逃げるように、走るー走るっ; ガラ空きの車両のいちばん奥まで走り、そこに座ってドキドキしながらマイケルが歩いてくるのを待ち構える。
 "プシューッ" と前方の扉が開き… わ~んっ; マ、マイケルが来るっ!! 迫まってくるっ!!
 でっかいチャールズの後ろに、マイケルが見え隠れしながら、ついに私たちの目の前までやって来たっ;
 「マイコー!」 「マイコー、バーイ!!」
 通り過ぎざまに手を差し伸べるファンと替わる替わる握手。片手にファンからもらった手紙を持ってて、それでちょっぴり恥ずかしそうに口元を隠してるのっ。
 マイケルも、優しい声で 「バーイ」 って返事してくれる。
 後に続くビルや甥っ子・ウェイン達にも 「バーイ!」 「サンキュー!!」 って声をかけ、今度はその行列にくっついて後ろをゾロゾロ歩いて移動。ちらちら見えるマイケルの帽子!!
 そのままマイケル一行は2号車の出入口前まで進み、くっついて来たファンは全員、手前の自動扉でSTOP。
 ただ、自動扉がなかなか閉まらなくって、すぐ目の前でこっちを向いて立っているマイケルの全身が丸見え状態っ;
 「マイコー!!」
 キャーキャー騒いで手を振ると、マイケルもこちらに向かってピースしたり 笑いながら手を振り返してくれる。か、かわいいっ
 ローテーションでファンが替わる替わる前に出るたびに、マイケルも改めて手を振ってくれて。
 ようやく自動扉を調節してドアが閉じた後も、半透明の窓の向こうに見えるマイケルに向かってみんな大騒ぎっ; さっそく手にした手紙を開いて、顔を隠しながら読んでいるマイケル。
 そんなスペシャルダイナマイト級に優しくってカワイイマイケルを見つめながら幸せ気分でいっぱいのファンとマイケル一行を乗せた "ひかり20号" は、東京駅のホームへと滑り込んでいったのです   

 東京駅に到着した後は、とにかくタクシー乗り場へとダッシュ!! マイケルのバンを追っかけなくっちゃっ!!
 あっという間にエレベータに乗り込み消え去るマイケルと 湧き上がる歓声を尻目に、私たちは転がるように走るっ; 改札に切符を出すのも忘れ、息も絶え絶えにタクシーに乗り込む。
 しかし、マイケルのバンは既に見当たらないっ;
 甥っ子も連れてるし、明日も1日オフだし、このまままっすぐホテルに帰っちゃうとはどうしても思えなかった私たちは、いろいろ考えを巡らせる。 「今から行くなら、どこだと思う?」
 今はまだ午後9:00前。
 結局、これまで行きそうでまだ1度も行っていない、銀座の 『博品館』 に行ってみることに。
 「ダメだったらキャピに行こうよ」 と言いながらも、なぜか "マイケルは 『博品館』 だっ!!" って確信がある。 "ゼッタイいる…!!"

 タクシーを飛び降りてダッシュで駆けつけると、そこには    やっぱり!!;
 野次馬とファンの大集団が出来、おなじみの東パト、エスティマ、そしてマイケルのバンが停まっていたのでした   





■12月28日(月)■ (同日) 銀座博品館
 『博品館』 に着いた時には、もう既に すっごい人だかりが出来ているっ;
 カメラを持ったファンも大勢いたけれど、半分くらいは忘年会帰りの酔っぱらいや野次馬の群れ。

 『博品館』 は、銀座の外れにある大っきなおもちゃ屋さんで、マイケルは来日する度にここを訪れて買物しているのでした。
 道路に面した所は全てガラス張りになっているので、明るい店内の様子は丸見え状態!!
 セキュリティや博品館の店員がウロウロしているのは見えるけど、マイケルは?! どこ~?! 全っ然見えない;

 別の場所から 「キャー」 という歓声が聞こえてくる。
 マイケルが見えてるらしい??
 そっちに行ってみたかったけど、"いま動いちゃったらダメだ!!" って何となく思い、じっとガマンして待ってみる。    と、次の瞬間!
 目の前の階段の陰から突然 "ガバッ" とマイケルが出たぁっ!!
 マイケルは、セガジャンパーにサングラス姿。
 こっちにはファンがいないと思って歩いて来たらしく、皆の 「きゃー!!」 っていう歓声にびっくりしている様子! 一瞬 "ビクッ" とのけぞって、「うわー;」って顔してピラピラって手を振って、パパッと階段の陰に隠れちゃった; なんだか子供みたいなチョコチョコした動きで、とってもカワイかった
 "もう1度出てきてくれないかな…" って期待していたけれど、マイケルはそのままエレベータに乗って 上へあがって行っちゃった。

 その後、私たちは裏側のバンの方に廻り込み、タクシーを停めて追っかける準備!!
 マイケルがお買物を終えるまでの間、マイケルのバンの扉の真ん前に立って、じーっと待機。

 その間にも どんどん野次馬は増えていくし、この時マイケルの他にも日本のタレントが来ていたらしく、そっちの追っかけファンも加わって 辺りは大混乱;

 そのうち、東パトのおじさん達が車に乗り込み、店員が中から大勢出てきて入口からバンの扉までの通路を作り出す。店員が全員手を繋いで、人間ロープ状態!
 そのこちら側にはファン・野次馬の大群、バンのそばには白人の例のでかいボディガード。
 バンの扉が開けられるっ!
 中が丸見えで、マイケルのいつも座っている辺りを思わず凝視!
 私たちの1人があげたヘビのぬいぐるみが、マイケルの窓の上の取っ手(?)に巻きついているのが見える!

 そんなこんなで押し合い・へし合いやっていると 午後10:00ごろ、ようやくマイケルが出てきた!!
 「キャー!!」
 ものすごい歓声の中、裏口から出てきたマイケルは両手で顔を隠すようにしながら手を振り、少し前かがみで足早に歩いてくる!





 フラッシュ攻撃を避けてるんだ…って思いながらマイケルを見つめていると、目の前に来た時 ちらっと見えた表情は笑顔で、ちょっぴりホッとしたのでした。
 そのままバンに乗り込むマイケルを見て、あとはダッシュで人混みを掻き分けタクシーへ!!
 マイケルのバンを追って走り続け、そのまままっすぐ 『キャピトル東急ホテル』 へと戻ったのでした。

 ホテルに到着して30分後、長かった今日の締めくくりに、マイケルはまたホテルの10階から顔を覗かせてくれたのです   






■1月1日(金)■  See you MICHAEL !
 マイケルと共に過ごし、後を追って駈けずり回り、寝ても醒めても "マイケル" してた大追っかけの日々も、年が明けて今日が最後。
 いつものように10階を見上げると、どこともなくひっそりしていて、何だか皆でマイケルを呼んでいたのが もうずいぶん昔のような、ついこの前のような、不思議な懐かしさが込み上げてくる。

 思えば、おちおちトイレにも行けず、凍えるような寒さのなか 連日立ち尽くし、ろくなモンも食べず、空振りも何度も経験し、とにかくソーゼツな毎日だったけれど、でもなんて素敵で楽しくって、そして幸せだったことか!
 マイケルのことだけ考えて追っかけて、そして会えて。
 そんなスペシャル級の幸せが当り前のことのように思えるくらい、その頃の私たちにとってマイケルは身近な存在になっていたのでした。
 日常が全てブッ飛んで、丸ごと夢の世界に浸っていたようなもので。

 ホテルの前には、最後のお別れをしようと朝から大勢のファンが集まって来ている。
 毎日のように顔を合わせて、お互い励まし合っていた皆とも、今日で当分会えないんだね…。
 これまでの、長かったような・あっという間だったような24日間を振り返る。
 マイケルが、いろんな出来事を通じて私たちに伝えてくれたこと・心に残してくれたものは、とにかく大きくって、温かくって。様々な形で贈られるファンからの愛情を、誠実そのものでしっかり受け止め、そしていっぱいの愛情で返してくれたマイケル。

 そのマイケルとも、あと数時間で本当にお別れ…。
 出発の時刻が近づくにつれ、別れの実感や現実がひしひしと押し寄せてきて、それまで元気だったファンが次々に泣き出す。
 空港なんて行きたくない!!
 もう会えないなんて、ヤダ!!  みんな、みんな、泣いていた。
 私は、最後にマイケルに手渡したくて渡せなかったメッセージを握りしめる。
 『マイケル、私たちは、あなたが日本に来てくれて本当に幸せでした。』
 そんな、ヘタクソな英語でのメッセージ。でも精いっぱいの、感謝の気持ち。

 出発直前、カメラクルーが最後にファンの様子を収めようと駐車場の出口にやって来ると、いよいよマイケルが帰ってしまうって気持ちになり、あとからあとから涙が溢れてどうしようもなかった。
 皆、それぞれの想いをカメラに向ける。
 私はクルーに、持っていたメッセージを映してくれるよう頼む。クルーはしっかり片手に持ち、カメラに収めてくれる。
 マイケル、帰国して落ち着いたら、きっと皆からのメッセージを見てくれるよね。いつか、きっと。

 そして午後2:00過ぎ。
 歓声とともにマイケルのバンがゆっくり出てくる。
 それまで堪えていたものが一気にぶっ飛んで、気づいたら私は大声でわんわん泣いていた。こんなにマイケルを愛おしいと感じたことは無いくらい。こんなに好きだと思ったことも無いくらい。
 別れがつらいのに、心の中は切ないくらいに幸せで、マイケルのバンに向かって ただただ 「ありがとう」 の言葉を繰り返し叫んだのでした。
 ルーフから出たマイケルは、いつものセガジャンパーに赤いシャツ・帽子にサングラス姿で、ピカピカの笑顔で手を振る。この一瞬を、絶対に忘れたくない!!

 バンは、ファンの間を縫って ゆっくりと進む。その後を追って、ファンが皆走る、走る、走る!
 マイケルと過ごせる最後の時を、1秒でも長くしたくって。
 ほんの少しでも、距離を縮めたくって。
 世界中のファンが何度となく経験してきたマイケルとの別れを身体中で感じながら私たちは、何度もルーフから出てくれるマイケルに向かって泣き叫んだのでした。
 「ありがとう!! こんなにも幸せな思い出を残してくれて、本当にありがとう!!」
 マイケルは大きすぎて、私たちには何もお礼が出来ないけれど、マイケルが私たちに示してくれたハートを、愛情を、決して忘れない!
 そんな気持ちで、成田へ向かうバンを追いかけていったのでした   

 東パトのおっちゃんに 「パンツ!!」 「へそ!!」 と言われながら、タクシーから身を乗り出してマイケルにお別れ。
 タクシーの運転手さんも、最初はボーっとしてたのに途中から異様に燃えまくり、車線はハズれるわ 追い越しするわ; しまいには140kmを超えるハイパースピードでぶっ飛ばし、何度も何度もマイケルのバンに横づけしてくれたのでした。
 セキュリティやスタッフの面々、ビル、マイケルの運転手さん。みんな、最後ということもあって、心なしか優しい。追っかけタクに向かって笑顔で手を振り返してくれる。
 追っかけタクは、全部で15~16台。この光景を、マイケルは今どんな顔で見てるのかな…?

 そして、高速大チェイスの後は、空港で最後のお見送り。
 せめて飛行機だけでも…って思って来たのに、マイケルは来日した時と同じように、わざわざファンの目の前を通って、にこやかに手を振って帰って行ったのでした。
 黒いコートを羽織り、ビルと並んで歩くマイケル。
 その姿を見送りながら、やっと引っ込んでいた涙がまたしてもドッと溢れてきたのでした。





 最後の最後まで、どこまでも優しかったマイケル。
 ファンが怖いことって無かった?
 邪魔なことは?
 ホテルの前ではギャーギャー騒いでうるさくなかった?
 お忍びなのに長崎まで付いてったりして迷惑じゃなかった…?
 でも、マイケルから返ってくるのは、いつも変わらない笑顔と 差し伸べてくれる大きな手。
 いつも、いつだって、そうだった。
 ハウステンボスでは、ファンを警戒して遠くからロープを張る日本の警備員に、「ここにいるコたちは皆友達だから、ロープなんて張らなくって良いんだよ。」 って言ってくれていたマイケル。
 「よく付いて来られたね。面白かったよ。」 って言ってくれた、マイケルのセキュリティ達。
 私たちの不安な気持ちを、 "大丈夫、ちゃんと解ってるよ" って教えてくれて、ただただ幸せいっぱいにしてくれたマイケルとスタッフに、感謝。
 思い返すと泣けてくる位、いつか忘れていくのがもったいない位、素敵な思い出を残してくれて、本当に、ありがとう!

    そして、午後4:35発 JAL66便に乗ったマイケルは、故郷ロスアンゼルスへ向かい、日本の地を後にしたのでした   


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